「よりよい保育通信」芦屋創刊号

  第1号  2016年10月発行

    よりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会 責任編集・発行

1. はじめに

私たち「よりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会(以下、市民の会)」は、社会福祉法人夢工房(本部:芦屋市東芦屋町)の不正問題、及び認定こども園事業からの撤退を受け、ブログやシンポジウムを通して、多くの意見や情報を発信してきました。今後は「よりよい保育通信」を通して、市民の皆さまにより分かりやすく情報をお届けします。特に仕事や子育てでお忙しい保護者の皆さんや現場で働く職員の皆さんにも目を通して頂ければ幸いです。

○市民の会の活動目的とは?活動メンバーは??

→ 市民の会は、2014年に「こども子育て新制度」に疑問を持った市内民間保育園長、元公立保育所長らが中心となりスタートしました。市立浜風幼稚園の廃園問題についても、廃園ありきの芦屋市の姿勢に異を唱えてきました。現在、市民の会は、立場・年代・政治的思想の枠を超えて、芦屋の保育・幼児教育のあり方に危機感をもった人達が集まっています。

私たちの当面する重要な活動である夢工房問題は、単に同法人の経営者を批判することではなく、よりよい法人へ再生させることだと考えています。子ども達に安心・安全な保育環境を、保護者に正しい情報を、現場で働く職員に良い労働環境を願って活動しています。

 

○いま、何が問題となっているの?(夢工房問題)

→ 残念ながら、不正を行った法人代表者(理事長)に反省の色が見られず、現場が全く改善されていません。それを放置している芦屋市の体質にも問題があります。

夢工房は、芦屋市に本部を置く数少ない法人です。芦屋市以外の自治体(姫路市等)からは、すでに不正の事実を公文書によって突きつけられています。芦屋市としても、あいまいな態度で済ませられるとは思えないのですが・・・

○不正を追及すれば、夢工房の保育園が芦屋から無くなってしまうのでは?

→ NOです。法人が生まれ変わる方法があるからです。

 一つは法人の理事会メンバーの入れ替えです。理事長の不正を見逃してきた(支えてきた?)理事会のメンバーを入れ替えることで、法人が生まれ変わることは可能です。そのために、第三者委員会(2ページ参照)が厳しい判断を下せるかが大きなカギなのです。

次のページからは、これまでの流れを詳しく紹介します。

まずは現状を知って下さい!!

2. これまでの経緯

H28.6.9兵庫県庁が夢工房の不正を発表

兵庫県庁社会福祉課より、夢工房の「不適正経理疑惑について」架空勤務等の事実が確認できたと発表されました。また、同疑惑が神戸新聞等全国に報道されました。合わせて、第三者委員会の設置(←県が人選した三名の委員を法人内に送り込んだ)が発表されました。

疑惑の具体的な内容とは、姫路市内の夢工房が経営する保育園にて

・理事長の親族ら(実母、義母、実母宅家政婦)の架空勤務に対する給与支給

・理事長娘宅の家具・家電製品の代金を保育所備品購入費と偽装し支出

これらの合計が2750万円です。別途、不正に受け取った補助金は1050万円です。

H28.6.24夢工房、認定こども園事業から辞退

夢工房より、浜風幼稚園跡地における認定こども園設置運営事業から「辞退する」との届け出があり、芦屋市はこれを承認しました。

H28.7.5夢工房の辞退について芦屋市から地域住民へ説明会

芦屋市より夢工房の辞退について地元説明会が行われました。地域住民や、浜風幼稚園及び浜風夢保育園の保護者が詰めかけ、芦屋市の責任において何らかの緊急措置を求める声が上がりました。また、夢工房に対してペナルティーを求めることや、続く南芦屋浜での認定こども園事業者の選定方法を見直すようにという厳しい意見が出ました。

H28.7.26一連の報道について夢工房から保護者へ説明会

山手夢及び夢咲保育園にて、夢工房より一連の報道に関する保護者への説明会が行われました。保護者からは「一連の報道で、新規職員の採用が厳しくなるのでは?」との意見が多く出ました。

※夢保育園の職員は離職率が高く、ベテランの保育士が育っていません。しかし、法人側にとっては人件費をおさえられるというメリットがあるのです。しかし、ベテラン保育士を欠いた保育内容は、子どもにとってどうでしょうか?

H28.8.11市民の会がシンポジウムを開催

市民の会が、よりよい保育・幼児教育を考えるシンポジウム(以下、811シンポ)を行いました。また、シンポの開催が神戸新聞によって報道されました。

→ 811シンポには夢保育園の保護者も参加され、現状が

不安であるというご意見を頂きました。

平成28年8月13日神戸新聞より

H28.8中旬~品川区、港区、横浜市で数々の不正の事実が発表される

品川区

→公設民営で開園した「区立ひろまち保育園」にて、区が開園時の条件としていた常勤の看護師の配置がないままに給与分の運営費を受給していたことが判明。区は5年間の委託契約をわずか1年で解除することを発表した。

港区

→私立認可保育園「高輪夢保育園」にて、実際には配置していない調理員(0歳児の給食担当)を増やしたという名目で、2014年7月~2016年6月の2年間も、補助金約890万円を不正受給。区は補助金の返還と、違約加算金を含め約1000万円の支払いを命じ、夢工房も従う。

横浜市鶴見区

→ 横浜市内の3園に対する市の定期監査により、理事長娘宅で購入・使用している家具家電等が、保育園の備品費で支出されていることが分かる。夢工房から市へ、新たに鶴見区に開設予定であった園(定員120名)の建設を取りやめるとの申し出があった。

H28.9.21姫路市から夢工房へ改善命令が出される

姫路市から夢工房に対する通知文(右下)が出されました(※公文書公開請求で入手しました。市民の会ブログでも文章の閲覧が可能です)。

→ 公文書により、夢工房側に反省が無いという事実が公のものとなりました。

 平成28年6月兵庫県庁から夢工房の不正事件が発表された中で世間に衝撃を与えた一つとして理事長実母を姫路夢保育園長として架空登録し、月70万円の賃金を補助金から支給(年間1000万円)していた事実がありました。ところが何と、理事会が同一人物(実母)を今度は、正規の保育園長をおきながら、実母に施設級の賃金を与え、仕事もせず、園の保護者から「なぜ保育園で寝ていることが多いのか」との苦情が市に寄せられ、今回、姫路市から改善命令が出されました。(全文別紙のとおり。姫路市情報公開条例で入手。個人情報部分は黒塗り)

姫路市の改善命令文書では、このような事実は「①社会福祉法第26条の2が禁じた特別の利益供与に該当する。②他の健全な法人運営者に対する利用者の信頼も損なう。③本市の指導監査行政に対する市民の信頼を損なうものであり、容認できない」と強く改善を求めています。すなわち、過ちを指摘されながら、その後も理事会が同じ不正行為を続けていたことになります。

H28.9.29市民の会が第三者委員会と懇談

 市民の会より、理事を総入れ替えし、新生夢工房として安心して子どもを預けられる保育園にするよう強く求めました。第三者委員会は、委員3名中、藤原孝洋弁護士(委員長)、勝木洋子神戸親和女子大学教授(委員)が対応して頂きました。

コラム ~認定こども園の課題とは?~

国が進める「子ども子育て新制度」の目玉が幼稚園と保育所を合体させる幼保連携型認定こども園です。芦屋市は、公立幼稚園数を今後、状況の変化により修正するものの、中学校区に2園が望ましいとの方向性を10月11日の学校教育審議会で出しました。このように幼稚園縮小に舵を切ろうとしながら、幼稚園機能のある認定こども園を推進することは市民的合意が得られるでしょうか。

働く女性が求める施設は保育園の増設ではないでしょうか?そもそも、認定こども園には、

○お迎えの時間に大きな差がある

○夏休みがある子、無い子がいる

○保護者が園の行事に参加しやすい、仕事で参加できない

○お弁当なのか給食なのか(現に、子どもによって昼食を別々にしている園の事例があるのです!!)

大人からすれば些細なことかもしれません。しかし、子ども達にとっては同じ園で生活しながら「お友達と違う扱い」であることに疑問や不安が生じるのではないでしょうか。まして、現場で働く先生方の負担は計り知れません。

浜風跡に続き、南芦屋浜にも認定こども園(250人 再来年開設)の事業者が決定しましたが、上記の課題の解決に向けて、今後、私たちは問題提起をしていきます。

News

浜風幼稚園跡地に仮設園舎の「浜風あすの保育園」がH29年4月よりオープンすることが決まりました。1年間だけの緊急措置であり、H30年4月からは新設される幼保連携型認定こども園へ引き継がれます。定員は60名です(0~2歳まで)。

→ 問い合わせ先 芦屋市こども・健康部 子育て推進課 ℡0797-38-2128

編集日記

 「よりよい保育通信」の第1号を無事に発行できました。紙面の都合で全ての情報を一度にお出しすることが出来ず、もどかしい気持ちです。市民の会にはそれだけ多くの情報が届いています。

同じ芦屋市で暮らし、保育を受ける子ども達です。保育の質に大きな差があって良いとは思えません。私たちは引き続き、よりよい保育・幼児教育を行政に求めていきます。

その一方で、保護者も一個人としてではなく、保護者会などのまとまった団体となって要望を伝えることが必要なのではないでしょうか。無関心でいることは簡単ですが、結果的に次に子どもを預ける若い世代や、現場で働く職員にしわ寄せが来るのではないでしょうか。(K)

市民の会の発信する情報はブログでも閲覧できます。どんな些細なご意見でもお待ちしています。

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よりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会

代表 佐藤うめ子(元精道保育所長) 連絡先 070-5669-5875(池上)

芦屋幼保市民の会(旧:より良い保育芦屋)

2017年9月23日、「よりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会」の集会において、芦屋市の幼稚園・保育所組織統合問題の話し合いの中で、自治会長、保育園長、大学教授等、皆様より新たな活動の場を拡げるべきとの意見があり、これに相応しい会の名称を「よりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会」から「芦屋幼保市民の会」に名称変更いたします。

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