(はじめに)
10月19日㈬、夢工房不正事件を調査する同法人内に設置された第三者委員会(委員3名は、兵庫県が人選し、法人が任命)が調査報告書を記者会見で説明した。なお、夢工房理事会も本報告書を受け入れた。今後、同法人は報告書に基づき法人認可権限を持つ兵庫県へ新理事の人事など再建策を提示することになる。しかし、報告書は現理事も総入れ替えを提言しており、現実は兵庫県が人事、経営に相当関与し、刷新した理事会を作るものと思われる。
報告書の内容は、標題のとおり、社会福祉法人の不正に対しては、もっとも重い「処分」が下された。公表版調査報告書(A4版77頁)には、黒石一族の法人の金銭及び職員に対する私物化、一方、保育内容の質の低下の事実がドラマのように記されている。
何故、このような法人が伸張してきたのか、総括すると共に、速報でも、訴えたが報告書は、夢工房の確かな再建への道であるが、当面、来春夢保育園で働く保育士を確保し、保護者も夢工房で働く(予定含む)を泣かせない現実的課題があることを忘れてはならない。この点では、芦屋市等夢工房保育園のある自治体が新たな待機児童を作らせない責務(児童福祉法24条①)があり「市民の会」も行政と共に努力することが求められている。
(調査報告書概要―準不同)
1、結論
①理事長、統括園長(理事長妻)の解任 娘、息子の退陣
理事長は議事録を偽造し、理事会の承認も得ずに金融機関から借り入れ、自己の資産としていたこと、統括園長(理事長妻)は、領収書を偽造し、私物の購入費用を夢工房に負担させていたことは刑法犯に該当する。即時に理事長、総括園長の地位も、理事の地位も解任されるべきである。
娘、息子も、何ら法人に貢献がないにもかかわらず、学費を与えられ、公用車を乗り回し、新婚家具を法人の費用で購入し、これが発覚すると隠ぺいする行動も見られ、法人内部に残るべきではない。
②理事会の総入れ替え
理事会は、理事長や統括園長の暴走を止めるような積極的行動がなく、一部理事については、不正発覚後も事実を隠ぺい、歪曲化し、理事長の不正に対して真摯ではなかった。現理事、現監事をこのまま残して新たな再出発することは、弊害があって利益はない。従って、理事会構成メンバーを全て入れ替え一新することを提言する。
2、不正の事実関係
①金銭関係
1億4000万円(補助金の不正除く)
・姫路―理事長実母、義母、実母の家政婦架空勤務(4200万円]
・娘、息子の学費、進学中の賃金支給(8200万円)
・婦人服の購入(120万円)
*姫路や新神戸の高級婦人服店で購入した領収書を関東地区5園で分割して経費処理、高輪夢保育園の経費として処理された金額の一部は東京都港区の補助金請求の中に含ませていた。
・教材費で集金した金銭の私的使用(200万円)
・公用車の私的利用(740万円)
・私的な海外旅行代金(62万円)
・理事長が法人から借り入れを装い自己資金として寄付(6200万円)
補助金不正流用 4600万円
・姫路市所長加算(3700万円)
・港区0歳児調理員加算等(890万円)
3、不正の背景
①理事長一族の私物化
・前掲金銭関係のとおり公私混同、一方では、職員には未払い残業
・職員を法人が支援している選挙応援にかり出す、理事長親族の通院付き添い
・理事長、理事長妻によるパワハラ(身体的、精神的)
・LINEの強制加入
・政治選挙において、誰に投票したかを投票画面で理事長へ送付させる
②理事会の形骸化
③利益優先主義
・新設園では絵本はブックオフで中古を購入、玩具も100円均一店で調達など子どもの
保育が切り詰められていた。また、横浜市内2園では、ある栄養の食事摂取基準を下
回っていた。
・園を増やすことが目的化し、保育は金儲けといった間違った意識が理事長らを支配して
いたのではないか。質の高い保育ニーズに応える本来の目的とは逆の方向に行ったので
はないか。
(結び)
公的支援を受け、中略 働く女性や住民を裏切った行為は許されない。待機児童ゼロ作戦で悩む自治体と保護者を手玉にとった理事長、この暴走を止められなかった役員を一掃し、現場園長・保育士の期待に応える管理体制の構築を望む。
以上(文責 池上義三)
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