保育が金儲けの時代

保育が金儲けの対象になる時代をどう生きるか?(夢工房問題から思うこと)事務局長池上

 私の保育所に関する体験を思い起こせば、娘が乳児の時(現在40歳代)、当時、無認可保育所であり、その後可保育所になった「こばと保育園」(若宮町)、「さくら保育園」(大桝町)や市立精道保育所にお世話になった(1970年代)当時、国は市立(公立)保育所の建設費、運営費を補助、また市内で地元の篤志家が無認可で子ども預かり、その後、認可保育園へ昇格した保育園にも国から建設費、運営費が補助された時代だった。孫が生まれ、市立宮川、新浜保育所にお世話になった。(2000年前半)

その後、「官は非効率、民は素晴らしい」が喧伝され(福祉予算カットの口実?)、全国的に公立保育所から民間保育所への流れを強まった。芦屋市も、市立山手幼稚園跡地へ民間保育園誘致(保育用地無償提供)し、夢工房が「落札」した。国は、公立保育所建設費、運営費の支出を予算制度上、抑制する措置をとり、民営化が加速した。しかし、民営化といえども、芦屋市(自治体)が監査し、申込み、保育料支払いは市役所が窓口であった。 

しかし、2015年4月法改正は、株式会社も参入可、保護者と保育業者の直接契約など公的関与が弱く、また保育面積、人的配置が認可保育所に劣る小規模保育事業(0~2歳児)が出てきた。芦屋市では、市民団体等の取り組みで全ての小規模保育事業をA型(全員保育士免許等)とし認可保育所の格差を拡げない措置を勝ち取った。ところが最近、国が予算を付け、何と芦屋市(自治体)の関与を一切受けない企業主導型保育園誘導を進め、芦屋でも高浜町、呉川町へ進出予定である。(2017年)

現在、芦屋市民は、認可保育所(公立、民間)、小規模保育事業、小規模保育事業からさらに保育環境の劣る企業主導型保育園の3ランクに否応なく選別される。また、国は、幼稚園と保育園を統合した幼保連携型認定こども園への予算を相対的に優遇し、誘導している。芦屋市が夢工房に市有地を無償提供し誘致したことはご存じのとおり。問題点は、大阪府阪南市で市長選争点にもなった経営のために大型化せざるを得ない。芦屋でも、浜風幼稚園跡地(200人)、南芦屋浜(180人)であり、小学校との連携、小学校区地域との関係が希薄になるなど問題点がある。保護者と業者の直接契約となり、業者は制服代、イベント代など基本保育料以外の負担金で収益を上げる傾向にあり、保護者の負担は増える傾向にある。監査も認可保育所より緩い。

このように、私の娘、孫の時代の保育環境に比べ、保育所を巡る環境は大きく変わっている。民間中心で自由競争も良かろう。しかし、普通の買い物なら、Aスーパーか、B、Cスーパーか選択できる。保育所に、このような選択権はあるのであろうか?否である。自治体の関与を求めるのは当然であるが、消費者・利用者・主権者の権利を強く行使しなければならない時代ではないか?私が保育所と関係した時代は、ある程度、為政者に任せおけば、良かった時代でもあったかもしれない。現在、事実としてそれはない。ならば、はっきりと権利を主張しなければ我が子を守れない時代に突入したのではなかろうか?個人の尊厳を守るために一人ひとりが声を上げ、横へ拡げることの大切さを夢工房問題が教えているのではなかろうか?今日の時代は、優しくも、為政者、力ある者に堂々と意見を言える日本人が生まれこざるを得ない時代かもしれない。

現在の状況(芦屋市内)

① 公立保育所(0~5歳児)               6カ所  480名

② 民間認可保育所(0~5歳児 0~2歳児、3~5歳児)11カ所 646名

③ 小規模保育園(0~2歳児)              5か所  28名

④ 幼保連携型認定こども園(保育園児225名,幼稚園児155人)2018年4月

                            2カ所   380名

⑤企業主導型保育園(0~2歳児)               ?   

芦屋幼保市民の会(旧:より良い保育芦屋)

2017年9月23日、「よりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会」の集会において、芦屋市の幼稚園・保育所組織統合問題の話し合いの中で、自治会長、保育園長、大学教授等、皆様より新たな活動の場を拡げるべきとの意見があり、これに相応しい会の名称を「よりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会」から「芦屋幼保市民の会」に名称変更いたします。

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