ある市民からの提言(幼稚園の有効活用など)

標題: 芦屋市の「市立幼稚園・保育所のあり方について」に対する一市民の提言

関係各位 

 私は芦屋市在住60余年で現在、芦屋市朝日ヶ丘町29-9に住む山本和良と申します。

今般、芦屋市より提示されました「市立幼稚園・保育所のあり方について」の内容を拝見し、その内容に多くの疑問を感ずると共に、公開データも調べ私なりの考えを持つに至りました。僭越ながら提案提示させていただくと共に、関係各位の議論の一部として加えていただき、より良き芦屋市のため御検討願いたい。

1.市立幼稚園の統合関係

・現在の市立幼稚園(8園、定員1540人)の今年度の状況は4才児:283人+5才児:261人=合計544人で平均充足率35%であり、65%が空室であります。さらに国基準より厳しい芦屋市クラス定員基準:4才児<30人、5才児<35人 に対し、市立幼稚園平均クラス人数は544人/25クラス=21.8人/クラスと基準より大幅に低い状態で運営されています。

・芦屋市の各年齢ごとの子供の数は、約800人と認識され、今後徐々に減少する方向です。

市立小学校の平均1学年人数は、H26年:801人、H29年:796人と上記推定と符合します。

・0才~5才の未就学児童も同様に約800人/才いると推定されますが、その把握が判り易くされていません。

市主催説明会での私の質問に、芦屋市の責任者答弁として会場で以下のような数字をお聞きしました。

3才児の場合 ①市外幼稚園利用:約100人、②市内私立幼稚園:約115人、③市内公立(104人)&私立(122人)保育園 約226人、④その他(保育を受けていない人)約350人 合計:約791人 で④その他の人数に驚きました。・「3才児保育をなぜ市立幼稚園で行わないのか」という市民の多くの質問に、市の配布返答書では、「学校教育審議会の答申において、公立幼稚園での3年保育についてはなお慎重に考えるべきとの答申を頂いており・・中略・・現在のところ、公立幼稚園での3年保育を考えていません」との説明に、何が理由で慎重に考える必要があるのかと質問しましたところ、私立幼稚園より経営に影響が出るので止めてもらいたいとの意見があるとの市責任者の返事でした。また、芦屋の私立幼稚園(4園:定員約500人)の約30%は市外からの利用者とも説明がありました。 つまり公立幼稚園に3才児保育がないので約350人が入れなくて、約100人の何割かが仕方なく市外に通園させているのが現状と考えられます。

近年の脳科学や教育研究の結果として、言語能力、運動能力、音感&リズム感、自我と協調性&道徳性発育など多面的に、「3才児の幼児教育」が極めて公共教育として重要である事が認識されています。

参考資料:https://www.sonoda-u.ac.jp/tosyo/ronbunsyu/園田学園女子大学論文集50/059-072.PDF

・芦屋市は市立小学校:8校と市立幼稚園:8園 体制で来ています。敷地隣接も多く小学校との連携も比較的よくできています。公立の小、中学校の給食化で多額の費用を掛けて立派な給食供給設備を作り、「芦屋の給食」なる本まで発行し、全国にアピールしようとしていますが隣接する幼稚園は依然として弁当です。

・市立幼稚園の通園時間は8:50から週2日(弁当なし日)12:00まで、週3日(弁当日)14:30まで、それ以降は延長保育が16:30まで、要するに朝の引き渡し、夕方の受け取りが、共働きが主体の子育て世代には利用不可で、親と同居以外は極めて利用困難なのが皆様のご意見です。

・一方、市立保育所は開所時間7:00~18:00 延長19:00又20:00と共働きを考慮したサービスを提供していますが、0~5才を一ケ所で受け持つため、大変な状態で芦屋市では0才児受付可:3園、1歳児より:2園、2歳児より1園と手のかかる0~2才児の受け入れを積極的にせず又はできず、民間に頼っているのが現状です。

定員60人の保育所で各年齢10人いるとすると、芦屋市基準では必要な保育士は0才児:4人、1-2才児:4人、3才児:1人、4-5才:1人 計10人 となります。さらに、幼児と3~5才児同居のため、幼稚園より少ない保育士一人当たりの保育者数基準(4-5才児:20人、3才児15人 市立幼稚園:4才児<30人、5才児<35人)となっています。

 現状は市立保育園の定員480人の0~2才児比率は約30%で、3~5才児が約70%です。幼稚園の朝夕の受け取り方法を改善すれば、保育園の3~5才児を幼稚園でより多くの児童と共に、より良質の幼児教育が可能となり、保育園内のスペースも0~2才児用に拡げられより良い安定した保育環境が得られると思います。

提言1.

 公立幼稚園 8園 に対し「統合」の代りに以下の施策を行う。

 1)各市立幼稚園で公立3才児教育の開始

  ・市の財産(施設と人)を最大限に合理的活用し、最小限の経費で市民の一番の希望を達

   成する事が重要。

  ・市採用職員 現状40人→42人+共通補助員8人 下記サービス含め約6000~8000万円

   /年増程度

  ・3~5才児の市立幼稚園推定希望者は約350人/才程度(Max.400人)と予想される。

  (現状4~5才は約270人/才) 約350人×3学年=約1050人程度と予想され、施設総定員1540人に対して約70%とまだ余裕があります。

2)早朝受入れ&夕方渡しのサービス導入(子育て経験のある地域パートやシルバー登録中高齢者も採用し、地域の活性化も図る)例:朝7:30~9:00 夕:14:30~19:00 利用者は時間単位の低額有料制

3)給食を小学校給食センターを利用して順次開始 一年生と同一内容 小学校給食センター負荷約20%増

4)幼稚園クラス編成に当たり、人数調整可能の条例を作り、採用職員数の合理的安定を図る。

・クラス定員より少し多い場合でも、例:保育料50%減や遠方雨の日自動車利用可 等の特別調整協力条件で調整協力保護者を募れるようにする。数人のために約700万円/年の市職員が必要になる不合理対策

・幼稚園には学区制がない点が活用されず、学区制のある小学校(県職員)と同様方式のクラス編成を改善することで、統合するのと同様の効果が得られる。

   今年例: 芦屋市基準 4才児<30人、5才児<35人 のため

      岩園幼稚園 4才児:32人→16人× 2組 5才児:11人×1組 合計43人 3組

      朝日ヶ丘幼稚園 4才児:16人×1組 5才児:28人 ×1組 合計44人 2組

      2園統合の場合 4才児:48人 5才児:39人 合計87人 4組

2.公立保育所の民間移管関係

・市立保育所は6ケ所で現状定員480人 市職員77人+パート約100人で運営されており、私

 立保育所は17ケ所で現状定員791人で0~2歳児のみを対象にした20人以下の小規模保育園が比較的多くを占める。

・公立&私立合計現状定員 1271人に対して0-2才児:574人(45%)、3-5才児:698人(55%)である。特に公立の保育園の0-2才児現状比率は約30%で公立&私立合計平均の45%より低く、民間にこの部分を多く負担してもらっている状況が数値としても明らかである。

・市の説明会での私の質問返答として、「打出、大東保育所の民間移転は保育環境と入園者保育費用を変えることのなく芦屋市の負担低減にある。」「概略、市立1保育園に対する芦屋市の費用負担は1.6億円で民間移管するとそれが0.33億円となる」との説明があり、詳細を担当部署に確認すると光熱費等運営経費:2500万円、人件費=市職員9500万円+パート部分4000万円との事でした。77人/6園=12.8人/園とすると9500万円/12.8=742万円/人と市職員平均給与とほぼ同等となる。定年前の人数が多いので人件費負担が大きくなるが、その分保育士経歴が長く、上質な保育士と推察できる。

・民間企業では60才からの定年延長に際し、退職時の約65%程度で5-7年雇用延長が一般的と思う。

市採用保育士で定年予定者の延長希望者の比率は何%で何人か調査依頼したが、延長希望者が少なければ新規の若い保育士を年齢相当給与で採用し、むしろ優秀で経験のあるパート保育士の比率増大も図れば人件費についての問題は改善される。むしろ大事な保育を美術館の運営と同じ感覚で、民間移管することに多くの疑問を感ずる。

・保育所の土地建物は民間移管の場合も芦屋市は売却でなく賃貸と説明されている。保護者負担が変わらず、保育内容も維持するため運営経費も同等とすれば、民間移管して民間努力出来るところは、人件費のみである。民間の保育士は低賃金が政府でも問題視され、240万円→300万円/年が現状である。それも労働条件の悪さから3年以内に多くが転職し、保育士が短期間で交代すると現場の意見として聞いている。

・厳しい契約条件と、厳しい監視条件(公立の民営移管では当然事項)を付けて、芦屋市土地譲渡のメリットもなく保育園を運営希望する民間企業が存在するとは思われない。あるとすれば夢工房や姫路の私立こども園の様なブラック企業ではないか?と市民の多くが考えている。保育内容と保育費保護者負担を変えないで、芦屋市の負担が1.6億円から0.33億円に低減できる根拠を明確に市民に説明する事が極めて大切である。従来、県→芦屋市に交付されていいた部分が、直接に県→民間に交付されるため見かけとして芦屋市の負担が低減するだけではないのか? 等 世の中にそんなうまい話はないと、市民の疑問は一向に解消されていない。

提言2.

 公立保育所 6園 を「2園:民間移管、2園:新設公立こども園に統合」に代わり以下を提案する。

1)公立保育園の公立単独継続

・新設こども園は提言1を実行すれば必要なくなり、打出&大東保育所のみ民間移管する必要性は極めて少ない。

・公立保育園の保育士の給与低減は、定年再雇用の推進と若年保育士の育成を考慮しながら進め、保育士レベル の高い芦屋市立保育所を目指すべきと考える。これにより私立保育所も質的レベルが維持される。

・万一、民間移管案を採用する場合は、同時に厳しい契約条件と監視条件&方法の内容確認のため契約内容の

 市民公開が同時にされる必要がある。予想される民間希望者が出ない事態の対処と混乱責任についても明確

 にしておく必要もある。

・現在入園されている保育者に、入園条件として民間移管が文面で情報提示されていなければ、保育所利用保護者より損害補償裁判を起こされた場合、芦屋市として敗訴する可能性が極めて高い。事前に対応方法に対し芦屋市は明快な答えが必要である。

・山手夢保育園(120人)、浜風夢保育園(60人)、夢咲保育園(60人)を受注した社会福祉法人「夢工房」(本部:芦屋市東芦屋町)は西宮市4園、姫路、神戸市、尼崎、大阪、京都、神奈川、東京、北海道と全国に21ケ所を短期間にラーメン屋の様に展開した法人であり、現在旧経営者一族は解雇され再建に投入された滝沢弁護士(兵庫県労働委員会会長)は、懸命な努力で再建に取り組まれている。「夢工房」のホームページに第3者委員会の不祥事詳細報告書が公開されいる。それを一読するといかに旧経営一族はブラックな事をしてきたかを理解できると共に、その全国展開に広告塔の様に利用され結果として他市の人々にも迷惑をかけた我が芦屋市の責任を芦屋市民として痛切に感じます。

この事件の反省として、保育所や幼稚園の民間移管や民間活用に関しては芦屋方式としての独自の高いレベルの対策を行う責任が、他市に対しても芦屋市はあると考えます。

3.新設こども園及び認可保育所関係

・提言1&2を採用すれば公立こども園の新設は必要ない。芦屋市が新設公立こども園案を主張するなら具体的に建設費用、採用人件費の費用を明示し、提言1&2と費用、安全性、利便性、既存設備の利用度など比較明示願いたい。現状のこども園案では3才児保育の増加数は約100名程度との説明で、必要数より大幅に少ない点はどうするか対策を聞きたい。

・保育園、こども園の新設は民間でもよいが、こども園の定員は約200人以下とすべきである。

多くの現場経験者の声として、200人以上はリスクが高いと発言されている。300人でも可能とする芦屋市はその根拠を多数の実績と共に証明する責任がある。

・無理をして津波水没危険のある西蔵町市営住宅跡地に大型公立こども園を作る必要はなく、通勤経路での保育所の希望が多いのであるから、JR芦屋駅南地区開発の目玉として、駅前ビル内小規模保育所&屋上運動スペースなどを検討した方が、共働き子育て世代の市民ニーズに合うのでないか。

・芦屋市の計画では、山手圏域の待機児童数は60人で保育所の増設見込みなしで対策が計画されていない。

朝日ヶ丘幼稚園は8教室あり、3年保育を採用しても延長保育用を含め4教室で運用可能で、残り4教室中1~2教室を小規模保育所用に活用したら、早急に山手圏域の待機児童対策が行える。本案は長く芦屋市最大世帯数の朝日ヶ丘町住民の願って来たことであります。

・文部科学省はH28年4月に待機児童低減の緊急対策として、公立幼稚園の空室利用と延長保育の資格緩和の通知を出しているが、芦屋市はこの通知に対して何ら反応した計画を作成していないと、説明会での市民指摘がありましたが、私の提言と文部科学省の通知主旨は同じ方向と考えます。

提言3.

 こども園及び保育所の新設に関し以下のような施策を行う。

1)公立こども園の新設及び既設公立幼稚園と保育所の廃園は提案1&2の実施で 一切不要。

 芦屋市が必要と考えるならその根拠を建設費、人件費、メリット、デメリットを明確に比較し市民の納得が得られる事前説明する必要がある。

2)民間に私立こども園を開園させる場合も、定員は200人以下とし、0才~5才の保育部、幼稚園部の定員

 構成を事前に明確にさせ、補助金に対する監査項目を明示公開し結果を継続公表する事が必要である。

3)山手圏域の待機児童対策が計画されておらず、早急に実施可能な朝日ヶ丘幼稚園の活用案を検討する事。

4)西蔵町市営住宅跡地の大規模公立こども園にこだわらず、JR芦屋駅南開発などの新計画に駅近かの小規模

 保育所など市民ニーズを配慮した民営新設計画を行う事。


まとめ

・「国際文化住宅都市―芦屋」の二本柱の住宅環境と教育環境については先人も努力され

1)公立幼稚園が私立幼稚園よりも多い市

2)公立幼稚園で2年保育をいち早く始めた市

など、その努力結果は公立小中学校の学力にも表れている。

この度の芦屋市「市立幼稚園・保育所のあり方について」の計画は、こども本位の教育環境の改善でなく反対方向の可能性を含んでいると思われます。一市民として考えつく事は、専門部署にてはすでに理解されている事と想像しますが、それであれば何故に芦屋市案でなければならないのか説得力のある説明を頂きたい。

                         -以上-  山本 2017年4月25日 

芦屋幼保市民の会(旧:より良い保育芦屋)

2017年9月23日、「よりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会」の集会において、芦屋市の幼稚園・保育所組織統合問題の話し合いの中で、自治会長、保育園長、大学教授等、皆様より新たな活動の場を拡げるべきとの意見があり、これに相応しい会の名称を「よりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会」から「芦屋幼保市民の会」に名称変更いたします。

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