幼稚園の有効活用(産経2017.5.29付)

2017.5.29 16:00更新

【女の視線】

幼稚園が「保育所機能」強化 時間延長、夏休みも対応

 希望しても認可保育所に入れない待機児童問題が解消されない中、幼稚園が「保育所機能」を強化している。働く親に合わせて夕方まで預かったり、従来は長期間閉じていた夏休みも開けたりといった取り組みだ。保育所を落ちた人たちの「受け皿」としての期待もあり、国も4月からこうした幼稚園への補助を手厚くして後押ししている。園児減少が見込まれる幼稚園の生き残り策の側面もある。

 ◆ゼロ歳児、学童も

 全国で最も待機児童が多い東京都世田谷区にある「さくら幼稚園」。本来の保育時間は午前9時~午後2時だが、親が働いていても通いやすいよう、朝は午前7時半から、夕方は午後7時まで預かり保育もしている。幼稚園には夏休みや冬休みがあるが、その間も希望により子供を預かり、対応できないのは年末年始などわずかな期間で、態勢は保育所並みだ。ゼロ歳児からの預かりや学童保育もあり、定員を大きく上回る申し込みがある。

 2人の子供が通う兵頭鐘子さん(39)は時短勤務中。「恵まれた環境で仕事との両立ができ、ありがたい」と語る。近くに引っ越してきたという石上有理さん(34)は「不安だった子育ての方法なども教えてもらえる」と満足そうだ。

子供を保育所に入れるための「保活」で不利なパート勤務の親を持つ園児も多い。同区の「銀の鈴幼稚園」は昨年から預かり日を増やして対応。午後5時までだが「保育所を落ちた」という非正規や不規則勤務の保護者には好評だ。五島満園長は「新たな建物を造る必要もなく、住民の理解も、外で遊べる園庭もある。保育所ばかりに目が行きがちだが、幼稚園も選択肢の一つでは」と話す。

 ◆園児減少で生き残り

 預かり保育の充実で園児が増えた例もある。静岡県清水町の公立幼稚園では、平成27年度に預かり保育の条件を緩和し、28年度から預かり時間を午後5時まで延ばしたところ、減り続けていた園児数が29年度、増加に転じた。事前調査で寄せられたパート勤務の親の要望を取り入れたという。

 幼稚園の預かり保育の実施率は83%(26年度)。だが保育所に比べれば、預かり時間が短く、長期休暇を十分カバーできていないなど課題もまだある。

 子供・若者白書によると、保育所に通う子供の数は216万人(27年)に上るのに対し、幼稚園は140万人で減少傾向にある。園児不足が深刻な地方では統廃合も進む。

日本総研は、子供の数が減り、妻の就業率が上がった場合、幼稚園児が40年には35万人となり、4分の1まで減るといった推計も出している。同総研の池本美香主任研究員は「少子化で保育所ニーズは減る可能性がある。定員に余裕がある幼稚園をもっと活用すべきだ」と話している。      

 【幼稚園と保育所】幼稚園は3歳から小学校入学前までの子供が対象の学校で、1日の教育時間は4時間が標準。学校教育法に基づいて設置されており、所管は文部科学省。保育所は保護者の仕事や病気など、何らかの理由によって保育を必要とする0歳から小学校入学前の子供が対象。児童福祉法に基づき、厚生労働省が所管する。これとは別に内閣府が所管し、幼稚園と保育所両方の機能を備えた認定こども園がある。

芦屋幼保市民の会(旧:より良い保育芦屋)

2017年9月23日、「よりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会」の集会において、芦屋市の幼稚園・保育所組織統合問題の話し合いの中で、自治会長、保育園長、大学教授等、皆様より新たな活動の場を拡げるべきとの意見があり、これに相応しい会の名称を「よりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会」から「芦屋幼保市民の会」に名称変更いたします。

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